解答案
昨日(2026年10月21日)受験された皆様、大変お疲れさまでした。
例年、労働衛生コンサルタント筆記試験の模範解答は公式発表まで時間がかかり、特に「労働衛生関係法令」は細かな条文知識や法改正事項が問われるため、自己採点に悩まれる方も多いかと存じます。
本記事では、令和8年度(2026年度)労働衛生コンサルタント筆記試験における「労働衛生関係法令」(全15問)について、関係条文や通達に基づき検討した**解答一覧および要点解説(私案)を速報として共有します。振り返りや自己採点の目安としてご活用ください。
【免責事項】
本記事の内容は、公開されている法令・規則・公的指針等に基づき独自に作成した私案(非公式)であり、安全衛生技術試験協会による公式の正答・合格基準を保証するものではありません。内容には万全を期しておりますが、解釈の相違や誤りが含まれる可能性もございます。本記事の利用により生じたいかなる損害についても責任は負いかねますので、あらかじめご了承ください。
解答一覧(早見表)
| 問 1 | (1) | 安全衛生管理体制(有害業務・専任衛生管理者・産業医巡視の特例) |
| 問 2 | (2) | 機械等の規制(規格具備義務・型式検定・定期自主検査) |
| 問 3 | (4) | 化学物質管理(安衛則第34条の2の10・改善計画報告書) |
| 問 4 | (3) | ストレスチェック制度及び面接指導(安衛法第66条の10、安衛則) |
| 問 5 | (1) | 作業環境測定(測定場所・測定項目・測定頻度) |
| 問 6 | (1) | 計画の届出(中央管理方式空気調和設備・安衛則第86条別表第7) |
| 問 7 | (2) | 衛生基準(給湿における「清浄な蒸気」・安衛則第607条) |
| 問 8 | (4) | 有機溶剤中毒予防規則(側方吸引型制御風速・健診・呼吸用保護具) |
| 問 9 | (5) | 特定化学物質障害予防規則(物質分類・溶接ヒューム) |
| 問 10 | (5) | 高気圧作業安全衛生規則(自記記録圧力計の設置場所・気こう室) |
| 問 11 | (2) | 電離放射線障害防止規則(管理区域の基準・算定線量当量) |
| 問 12 | (1) | 酸素欠乏症等防止規則(測定のタイミング・終了後の測定義務なし) |
| 問 13 | (4) | 石綿障害予防規則(事前届出期限・輸入確認・健康管理手帳) |
| 問 14 | (5) | じん肺法及び粉じん障害防止規則(合併症と管理区分) |
| 問 15 | (1) | 衛生管理体制・衛生基準(有害業務従事者と衛生管理者の選任区分) |
各問のポイント解説
問 1:安全衛生管理体制(有害業務・巡視)
- 正解:(1)
- ポイント:
- 衛生管理者(A・B): 常時3,000人規模の事業場における衛生管理者は「5人以上」(3,000人超で6人以上)。著しく寒冷な場所における業務は衛生工学衛生管理者の専任義務対象業務(放射線、特化物質、有機溶剤、鉛、粉じん等)には該当せず、常時1,000人超のため「専任の衛生管理者」が1人必要となります。
- 産業医(C): 常時3,000人以下のため「専属」産業医1名で足ります(3,000人超で2人以上)。
- 巡視特例(D): 衛生管理者の巡視結果等の提供を受け、事業者の同意がある場合は「2」か月に1回以上とすることができます(安衛則第15条第1項ただし書)。
問 2:機械等の規制(規格具備・型式検定・自主検査)
- 正解:(2)
- ポイント:
- イ(防じんマスク): 規格具備(A)かつ型式検定(B)の対象。
- ロ(防毒機能付きPAPR): 規格具備(A)かつ型式検定(B)の対象。
- ハ(工業用X線装置): 年1回の定期自主検査(C)対象ですが、安衛法第42条の規格具備義務(A)の対象外。
- ニ(局所排気装置): 定期自主検査(C)対象ですが、第42条の規格具備(A)の対象外。
- ホ(弗化水素の排ガス処理装置): 年1回の定期自主検査(C)の対象(特化則第32条)。
- 正しい組み合わせは イ・ロ・ホ です。
問 3:化学物質管理(改善指示)
- 正解:(4)
- ポイント:
- 令和6年4月施行の安衛則第34条の2の10からの出題。事業者は専門家の助言を踏まえて作成した「改善計画」を遅滞なく改善計画報告書により所轄労働基準監督署長に提出しなければならず、「改善措置の完了時に完了報告書を提出する」旨の規定ではありません。
問 4:ストレスチェック制度及び面接指導
- 正解:(3)
- ポイント:
- イ: 解雇・昇進・異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は実施事務に従事不可(正しい)。
- ロ: 結果は医師等から直接本人に通知され、本人の同意なく事業者に提供してはならないため誤り。
- ハ: 高ストレス者で医師の面接指導が必要とされた労働者の申出に基づく実施義務(正しい)。
- ニ: 所轄労基署長への報告は「遅滞なく」ではなく事業年度等の「定期(年1回)」のため誤り。
- 正しいものは イ と ハ です。
問 5:作業環境測定(場所・事項・頻度)
- 正解:(1)
- ポイント:
- イ: 石油ベンジン(有機溶剤第2種相当)の払拭は「6か月以内ごとに1回」(正しい)。
- ロ: 鉛化合物の絵付け等は鉛濃度の測定を「1年以内ごとに1回」(正しい)。
- ハ: 金属鍛造等の騒音作業場は「6か月以内ごとに1回」。
- ニ: 炭酸ガス停滞坑内は「1か月以内ごとに1回」。
- ホ: 放射線物質取扱作業室は「1月を超えない期間ごとに1回」。
- 正しい組み合わせは イ・ロ です。
問 6:計画の届出(中央管理方式空気調和設備)
- 正解:(1)
- ポイント:
- 工事開始の日の「30」日前までに提出(A)、届出事項は「主要構造部分」の構造(B)、「設備点検」の要領(C)です(安衛則第86条第1項、別表第7第15号)。
問 7:衛生基準(安衛則第3編)
- 正解:(2)
- ポイント:
- 安衛則第607条(給湿)では「噴霧には、清浄な蒸気を用いなければならない」と定められており、「清浄な水」とする記述は誤りです(レジオネラ症等の健康障害防止の観点による)。
問 8:有機溶剤中毒予防規則
- 正解:(4)
- ポイント:
- ロ: 外付け式フード(側方吸引型)の制御風速は「0.5 m/s」(正しい)。
- ハ: 第3種有機溶剤業務従事者に対する6か月以内ごとの健診実施・個人票5年間保存義務(正しい)。
- ニ: タンク内部作業では防毒マスクではなく、送気マスクまたは空気呼吸器等の着用が必要です。
- 正しいものは ロ と ハ です。
問 9:特定化学物質障害予防規則
- 正解:(5)
- ポイント:
- ベリリウムは第1類、四塩化炭素は特別有機溶剤、フェノールは第3類、インジウム化合物は特別管理物質に該当します。溶接ヒュームは特化則上「第2類物質(管理第2類物質)」等に位置づけられています。
問 10:高気圧作業安全衛生規則
- 正解:(5)
- ポイント:
- 自記記録圧力計を設けなければならないのは作業室ではなく「気こう室」です(高圧則第6条第6項)。
問 11:電離放射線障害防止規則(管理区域)
- 正解:(2)
- ポイント:
- 管理区域の要件:実効線量の合計が3か月間につき「1.3」mSvを超えるおそれがある区域、表面汚染限度の「10分の1」を超えるおそれがある区域。また、外部放射線の算定は「1センチメートル」線量当量により行います(電離則第3条)。
問 12:酸素欠乏症等防止規則
- 正解:(1)
- ポイント:
- 酸素濃度の測定は「その日の作業を開始する前」に行う義務がありますが、「作業を終了した後」の測定義務は規定されていません(酸欠則第3条)。
問 13:石綿障害予防規則
- 正解:(4)
- ポイント:
- イ: 除去等の作業届出は「作業開始の日の14日前まで」。
- ロ: 0.1%超石綿含有製品の輸入時の書面確認・3年間保存義務(正しい)。
- ハ: 製造許可を受けた者の年1回定期報告義務(正しい)。
- ニ: 健康管理手帳の交付要件における石綿粉じん発散場所での従事期間は原則「1年以上」(周辺作業等は3年以上)であり、10年ではありません。
- 正しいものは ロ と ハ です。
問 14:じん肺法及び粉じん障害防止規則
- 正解:(5)
- ポイント:
- イ: 管理1の定期じん肺健診は「3年以内ごとに1回」。
- ロ: 管理2または管理3の者で続発性気管支拡張症等の合併症があるものは管理4と決定され療養を要する(正しい)。
- ハ: 手持式溶射機を用いるものは特定粉じん作業から除外されています。
- ニ: 坑内作業場の粉じん濃度測定は「1月以内ごとに1回」。
- 正しいものは ロ のみ です。
問 15:総合事例問題(安全衛生管理体制・衛生基準)
- 正解:(1)
- ポイント:
- 冷凍庫内での多量ドライアイス取扱業務(炭酸ガス停滞・著しく寒冷)に従事する労働者が常時20名いる事業場において、選任する3名の衛生管理者全員を第二種衛生管理者とすることはできず、法令違反となります。
受験された皆様、本当にお疲れさまでした。
筆記試験を通過された方は、1月〜2月に実施される口述試験(面接)に向けて準備を進めてまいりましょう!